ちいさなケーキ

いろんなことに追われる日々

体調も崩してしまい、気持ちもへこみがち…


そんな私に彼から届いたメール


「少し逢えるかなぁ」


それは、私の生まれた日



…もう彼と2人で逢うことはないだろう



そう思って過ごしていたから

とても驚いて…



それから数日後、

「近くまで来てるから!少しの時間だけど」

と電話をくれて…



髪を短く切ったこと

体調が良くないこと

仕事が大変なこと



何一つ話していなかったから

彼はびっくりしていて…




「何も用意してないんだけど…」



差し出してくれたのは

小さなケーキの箱


中にはショートケーキとシュークリーム




「お誕生日おめでとう!一緒に食べよっ」


そう言って笑ってくれて…



ほんとに久しぶりだったけれど

彼は変わらず優しくて

少しだけいじわるで



ほんの1時間半だったけれど

穏やかな笑顔でいられた時間



優しい気持ちの詰まったケーキ

すごく甘くて美味しかった…


ありがとう。

雪どけ

驚くほど雪が降った日

車で通勤している彼のことがとても心配に…


ずっとお休みしていたメール

悩んだけれど思い切って



「雪すごいね。積もってきたよ。早めにお仕事終わりにして気をつけて帰ってね!」



…送信…



数分後、彼からの着信

…彼と電話で話をするのはどの位ぶりだろう





「そらが泣いてるんじゃないかと思って…」




そう呟いてくれた彼がとても愛おしく

自然と優しい気持ちで胸がいっぱいに



「気にかけてくれてありがとう。」


そう呟いた私に



「逢いたいな。そらに逢いたい」


彼の優しい声



少し前の私だったら…



逢えないのにそんなこと言わないで

悲しくなる…


そんな風に思っていた



でも…あの日

雪が降り続く寒空の下で聞こえた声が

彼の気持ちが、暖かくて、素直に嬉しかった




彼と私のかたち



離れてても、逢えなくても

連絡が取れなくても

いつもお互いのことを想っていられたこと



…思い出した

…思い出させてくれた




翌朝


真っ白になった道をゆっくり歩きながら

見上げた空は…

青く澄んで綺麗で…涙がでた

自然に…ぽろぽろ…って


悲しい涙ではなくて

何かから解き放たれたような

穏やかな想いがこぼれたような

そんな涙



そんな時、彼からのメール


「空が青いね(^^)」


彼の優しさがたくさん詰まったひとこと

温かく、私の心に積もった雪が

少しずつゆっくり解けていく



好き


その想いだけを大切に…

私なりの一歩を踏み出せたかな…

ひとしずくも…

冬空が広がる

凛とした空気

冷たい風


…初めて

彼から来たメールに

…初めて

お返事をせず


文字を見つめたまま

じっ…と想う日々


彼は今、何を思うのかな

このままお返事をしなければ…

終わってしまうかな…



ひとつ呼吸をするだけで

ほんの少し気を抜くだけで

こぼれそうになる


だから…

心にぎゅーと力を込めて…



青い空を見上げる



ひとしずくでも

こぼれてしまったら


とめどなく流れるのがわかるから


ひとつも歩みを進められないけど

今は、空を見上げる


何ひとつ決められないけど

今は、空を見上げる


果てしない空を見上げて

ひとしずくもこぼさぬように…