ひとしずくも…

冬空が広がる

凛とした空気

冷たい風


…初めて

彼から来たメールに

…初めて

お返事をせず


文字を見つめたまま

じっ…と想う日々


彼は今、何を思うのかな

このままお返事をしなければ…

終わってしまうかな…



ひとつ呼吸をするだけで

ほんの少し気を抜くだけで

こぼれそうになる


だから…

心にぎゅーと力を込めて…



青い空を見上げる



ひとしずくでも

こぼれてしまったら


とめどなく流れるのがわかるから


ひとつも歩みを進められないけど

今は、空を見上げる


何ひとつ決められないけど

今は、空を見上げる


果てしない空を見上げて

ひとしずくもこぼさぬように…

あまりにも切ない…

ゆっくり少しずつ


想い出をひとつひとつ

この手にとって


振り返っては涙して


手にとった想い出を宝箱にしまって



そんな毎日の繰り返し


それでも…

進めている気がしていたこの頃


涙する日が少しずつ少なくなって

静かにあなたを想えるようになった

そんな気がしていたのに…



あなたからの「逢いたいね」のひと言に

私はひどく動揺してしまって…



想いをぶつけるつもりで

それはそれは、決死の覚悟で…

逢うことに…



…それなのに

逢ってしまったら…何も言えない…



あなたは、屈託のない笑顔で

いつもと変わらない優しい目で私を見つめる


「逢いたかった?」

「寂しかった?」


そう言って抱き寄せられる


苦しくて、じっとするしかない私


突然…



「結婚したかった?」



あまりにも切ない質問…

胸が張り裂けそうになって

クラクラしてきて…



「あなたは?…」



今の私に出来る精一杯の抵抗

…答えは



「愛してる」



切な過ぎて、苦しい…胸が痛い



あなたはずるい…



逢いたかった

寂しかった


結婚したかった



私の答え…分かっているはずなのに

どうして聞くの?



逢えたのに

切な過ぎて、苦し過ぎて

涙がとまらない



こんなに切ない気持ち

あなたはきっとわからない



こんなに切ない「愛してる」

…今の私には受け止められないよ

Al l reset

ずっと考えてた


彼と私

これまで と これから


出逢ってから10数年


それぞれの道を歩みながら

心の奥底で大切にしてきた想い


彼と再会して

その想いの強さを改めて感じて…


繋がった分だけ増えた

嬉しさと切なさ


流した涙も

こぼれる微笑みも


この胸が締め付けられるほど…



…そして

今…想う



彼と私は…近くなり過ぎた


…かな…




思い出したように連絡をしていたあの頃

逢えないことが当たり前だったあの頃


それはそれで…しあわせだった



元気にしてるかな…



そう思えるだけで、

見上げる空がいつも明るかった




日々忙しく過ぎる時間の中で

私の心と向き合う



穏やかに目を閉じて…深く深く呼吸をする

胸に手をあて…想いを感じる



ゆっくりと息を吐いたあと

見上げた空は…吸い込まれそうなほど

透き通っていた


朝も

夕焼けも

夜空も



「戻ってみよう」



素直にそう思える…不思議な感覚


この空の下

忙しいながらも、

しあわせな日々を送っている彼がいる


彼の心の片隅に

私という存在がほんの少しでも

残っていれば…それで充分



ゲームのように

全てをやり直すことは出来ないけれど

私の心や想いを整理することはできる



この胸の中にあるボタンを

潔く静かに押せるように



私は私と向き合う