雪どけ

驚くほど雪が降った日

車で通勤している彼のことがとても心配に…


ずっとお休みしていたメール

悩んだけれど思い切って



「雪すごいね。積もってきたよ。早めにお仕事終わりにして気をつけて帰ってね!」



…送信…



数分後、彼からの着信

…彼と電話で話をするのはどの位ぶりだろう





「そらが泣いてるんじゃないかと思って…」




そう呟いてくれた彼がとても愛おしく

自然と優しい気持ちで胸がいっぱいに



「気にかけてくれてありがとう。」


そう呟いた私に



「逢いたいな。そらに逢いたい」


彼の優しい声



少し前の私だったら…



逢えないのにそんなこと言わないで

悲しくなる…


そんな風に思っていた



でも…あの日

雪が降り続く寒空の下で聞こえた声が

彼の気持ちが、暖かくて、素直に嬉しかった




彼と私のかたち



離れてても、逢えなくても

連絡が取れなくても

いつもお互いのことを想っていられたこと



…思い出した

…思い出させてくれた




翌朝


真っ白になった道をゆっくり歩きながら

見上げた空は…

青く澄んで綺麗で…涙がでた

自然に…ぽろぽろ…って


悲しい涙ではなくて

何かから解き放たれたような

穏やかな想いがこぼれたような

そんな涙



そんな時、彼からのメール


「空が青いね(^^)」


彼の優しさがたくさん詰まったひとこと

温かく、私の心に積もった雪が

少しずつゆっくり解けていく



好き


その想いだけを大切に…

私なりの一歩を踏み出せたかな…

ひとしずくも…

冬空が広がる

凛とした空気

冷たい風


…初めて

彼から来たメールに

…初めて

お返事をせず


文字を見つめたまま

じっ…と想う日々


彼は今、何を思うのかな

このままお返事をしなければ…

終わってしまうかな…



ひとつ呼吸をするだけで

ほんの少し気を抜くだけで

こぼれそうになる


だから…

心にぎゅーと力を込めて…



青い空を見上げる



ひとしずくでも

こぼれてしまったら


とめどなく流れるのがわかるから


ひとつも歩みを進められないけど

今は、空を見上げる


何ひとつ決められないけど

今は、空を見上げる


果てしない空を見上げて

ひとしずくもこぼさぬように…

あまりにも切ない…

ゆっくり少しずつ


想い出をひとつひとつ

この手にとって


振り返っては涙して


手にとった想い出を宝箱にしまって



そんな毎日の繰り返し


それでも…

進めている気がしていたこの頃


涙する日が少しずつ少なくなって

静かにあなたを想えるようになった

そんな気がしていたのに…



あなたからの「逢いたいね」のひと言に

私はひどく動揺してしまって…



想いをぶつけるつもりで

それはそれは、決死の覚悟で…

逢うことに…



…それなのに

逢ってしまったら…何も言えない…



あなたは、屈託のない笑顔で

いつもと変わらない優しい目で私を見つめる


「逢いたかった?」

「寂しかった?」


そう言って抱き寄せられる


苦しくて、じっとするしかない私


突然…



「結婚したかった?」



あまりにも切ない質問…

胸が張り裂けそうになって

クラクラしてきて…



「あなたは?…」



今の私に出来る精一杯の抵抗

…答えは



「愛してる」



切な過ぎて、苦しい…胸が痛い



あなたはずるい…



逢いたかった

寂しかった


結婚したかった



私の答え…分かっているはずなのに

どうして聞くの?



逢えたのに

切な過ぎて、苦し過ぎて

涙がとまらない



こんなに切ない気持ち

あなたはきっとわからない



こんなに切ない「愛してる」

…今の私には受け止められないよ