震える手

「逢いたいんだ」


何度も何度も

私に降り注ぐ言葉


迷ったままの私

答えられず

聞こえないふりをし続けた日々



「大事な話があるんだ」


受け止めよう…彼の気持ち

きっとサヨナラの日


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迎えにきた彼

助手席に乗る私


黙ったままの彼

呼吸ができない私


人気のない駐車場


ぽつり…彼がつぶやく



「大好きなんだ…愛してる…」



怖いの

このままの未来が

不安なの

好きでいることが…



伝えられずにいた私

うつむいたまま

じっと…ずっとつま先を見つめる



「こっち向いて!」


その声と共に彼の腕が私を包む



私の名前を何度も呼びながら

締め付けるように彼の腕が

私を包む



真っ白になる頭の中



優しく奪われたくちびる



ふいに肩を押して離れた私



…それでも


…彼は



私を包む

身体もくちびるも心も

ぜんぶぜんぶ包み込む

優しく強く…



「愛してる」



彼の声が耳元で響く



どうしてこんなに愛しいのか

どうしてこんなに温かいのか



震える手を彼の背中にまわし

そっと力を込める


優しく笑う彼


「おかえり。そら」



彼の言葉に心が震えて…

涙がとまらなかった


そんな寒い一日…